俺は口には出さなかったけれど、俺はずうっと茶虎バッパと一緒だし、照れ臭いけど今でもバッパに甘えて入られるし、うれしくなった。バッパはさすがの貫禄で、ちょっと横になっていても議長としての威厳を見せている。




 「アチキら猫ってのは、大昔のご先祖様から独り歩きが好きだったのさ。考えてもごらん、家族で生活してたら、母と息子、兄弟姉妹の間で子猫が生れるし、みんな体が弱っちまうのさ。

  でも良くしたもんで、他所に言っても赤の他猫と気が合えばいつまでも仲良く出来る」と、古い昔からの話を持ち出して、理にかなった説明をする。


 飛び白茶斑の不良が「俺は一匹どっこで何とでも成るよ・・・・」と、胸を張るが、ちょっとばかり栄養失調らしく、やせこけて肋骨が浮いている。

 真っ黒の元ボス猫が「わしはそろそろ10歳になるけれど、ノラにしては長生きだろうよ。大抵は5,6歳になるとあの世とやらに消えちまう」と言い出したので、みんな自分の歳を頭で数えて、不安げな暗い表情になる。

 「何だい。通夜の晩でもあるまいに、玉の有る無しで深刻になることもないだろさ。それにしても、これだけのメンバーが集まって誰も玉の有ることを自慢できないとは考えてもみなかったよ」とバッパ猫にはっぱをかけられても、一同「…………………、」空を見上げて星を数えている。

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