「おいおい、大事な話しだってのに、白茶の柳腰も飛び白茶斑の不良も船漕いで、汚れ白の世太郎なんぞはすっかり眠っちまっている・・・猫には難しい話は禁物だ」と真っ黒の元ボス猫は呆れ顔になる。

  このあたりが猫会議の限界だ。バッパ猫が議長としてまとめる。


 「まあ、人間様よりも良い知恵が出るとは思わないけれど、今日はここまでにしようかね、適当に縁の下で眠るが良いさ。起きたらボイルした鶏肉と鮪の缶詰を用意しておくよ」

 ニャンだかんだで、猫会議は結論の出ないまま終ったが、俺は名誉ある書記だから、もう少し考えていた。

 俺には住む家があるから幸せだけど、ノラ猫はみんな苦労しているんだ。 人間様の猫団体は、それぞれが一生懸命考えているのに一つに纏まることが無い。

  自分たちの主張を誰かに押し付けようとしたり、自分だけが天使になったような気持ちで脱線する。考え方が違うからと言って、反対、反対の足の引っ張り合いで、それで何かが変わるわけじゃない。


 どちらかと言えば、学識のある理論派の人たちの方が、「ノラを自由に・・」とか主張して、避妊や去勢に反対するように思える。そんな理屈をいっぱい考えても、所詮、猫の浅知恵なのかも知れない。考える度に堂々巡りして分からなくなる。

 
でも、俺たちは猫だから、何がどう変化しようと、これから何百年、何千年、何万年だってきっと上手に勝手気侭に生きている。


 もう、眠たくなって目が開かない。