イエ猫の毛色遺伝子が変異して、数多くの毛色が生まれた理由

 今から約5000年以上も前にに、長い年月をかけ、ナイル川上流の原住民によって飼い馴らされ、野生猫からイエ猫に「訓化」した最初の猫は、縞柄のキジネコ、または、斑点のあった毛色の猫だったと考えられます。

 やがて、エジプトなどで人に飼われるようになると、白毛の猫や二毛の猫などの珍しい毛色の猫(自然界では長生きできない場合が多い)が生まれ、人に保護されたことから、毛色のバラエティがもたらされました。

  また、オレンジ因子によるレッド系の色の出現もイエ猫の毛色を多彩にするのに大きな役目をしています。

 そして、遺伝子の交流がもっと狭まった環境では、いろいろな猫(マンクス、レックス、スコティッシュフォールド、アメリカンカール、アメリカンワイヤーなど)が誕生して、そのユニークな特徴から「血統猫」になりました。

 その他のアビシニアン、ペルシャ、シャムなどの血統猫においても現在の容姿を得るまでには、想像以上の「近親繁殖」がされています。

 すなわち、全ての血統猫の繁殖は、オリジナルな特徴を完成させる目的と、遺伝的な弊害(虚弱体質、骨格の異状、繁殖上の弊害など)を排除しなければなりません。

  ブリーダーは、それらの問題を常に念頭において、遺伝の基礎知識に基づいた繁殖をすることが責任なのです。